詩蒐はまだ終わらない

 詩というカタチで、呟き、叫び、疾る

青い硝子石の笑顔

波が穏やかな初夏の早朝
浜辺で出会ったおじいさん
「俺はタケゾー。タケだよ」
そう言ってニカッと笑ったその顔が
クラスの誰かと似て見えた

突き出し開いた手に硝子石がらすいし
青くて丸くて半透明で
キレイだねってぼくが言ったら
ニカッと笑ってシワシワになった

朝陽が昇る少しの時間
ぼくらが遊んだ七日目に
はまなす園の看護師さんが
タケを連れて行ってしまって

バイバイ
バイバイ

タケが見つけた硝子石がらすいし
ぼくにくれた硝子石がらすいし
太陽にかざせばニカッと光る
タケの笑顔が映ってる

故郷のニュースに思い出し
タケの笑顔を思い出し
車を一晩走らせた
硝子石がらすいしを助手席に乗せ

はまなす園のびた門
鉄の鎖がぶら下がり
扉の前には草が生え
壁にはつたが這っていた

タケはどこにいたのだろう
今もどこかで笑っているか
子供みたいにニカッと笑って


#詩人の本懐 「閉園」